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リウマチのお薬の種類

お薬について解説いたします。

リウマチのお薬の使い方

気になっていた手指・膝・足指の腫れや痛みがリウマチ原因と分かったら、つぎは治療になります。
実はリウマチのお薬はここ数十年で大きく進歩しました。昔のお薬ではリウマチを完全に良くすることが出来なかったので、多くの方が痛みが残ったり、将来的に手指が変形してしまっていました。しかし、現在ではリウマチをしっかりと良くして変形などの進行を抑えられるお薬が登場しており、リウマチの治療はとっても良くなりました。
そんなリウマチのお薬について、使い方や特徴などを踏まえてご紹介していきたいと思います。

リウマチのお薬の使い方

飲み薬

メトレート(=メトトレキサート、リウマトレックス)
特徴
リウマチの治療の中心になるお薬です。
飲み薬の中で一番効果があり、リウマチと診断した際にまず使う事を考えるお薬になります。
リウマチは自分の免疫細胞が関節に中で暴れまわってしまうのが原因になります。そんな暴れまわっている悪い免疫細胞は、他の良い細胞にくらべて分裂のスピードが速くどんどん分裂し増えていってしまいます。細胞が分裂するときに使うのが葉酸というビタミンになります。
この葉酸を使えないようにして細胞の分裂・増殖を抑えるのがメトレートになります。
ポイントは、メトレートを1週間のうち1-2日だけ使うことで分裂の早いリウマチの悪い免疫細胞だけに効果を発揮して、分裂の遅い他の良い細胞には影響が出ないようにする飲み方になります。
さらには、メトレートを使った翌日にフォリアミンという葉酸を使うことで、良い細胞に葉酸が十分補充されるのでさらに影響が出なくなります。
使い方
メトレートは週3錠の少ない量から初めて、数週間様子をみながら1錠づつ徐々に増やしていくお薬になります。目標はメトレートが一番効果を発揮する週5-6錠になります。治療の効果はゆっくりで、およそ1か月かかってジワジワと効いてきます。
メトレート 週3錠
  • 月曜(朝1錠-夕1錠)
  • 火曜(朝1錠) + フォリアミン
  • 週1錠 水曜

→数か月かけて1錠ずつ徐々に増やしていき、目標は

  • メトレート 週6錠 月曜(朝2錠-夕2錠)
  • 火曜(朝2錠)+フォリアミン
  • 週1錠 水曜
注意点
  • 妊娠・授乳中は使えません(男女とも妊娠希望3か月前からお薬を中止します)
  • 肺、腎臓の悪い方は使えません
  • ご高齢の方はなるべく避けます
  • 肝硬変、肝炎ウイルスのある方は使えません
  • メトレートを使う日は飲酒を避けましょう
  • 高熱や胃腸炎などで食事がとれない時は中止しましょう
タクロリムス(=プログラフ)
特徴
リウマチで暴れまわっている免疫細胞にはいくつか種類がありますが、その一種であるT細胞を抑えるお薬になります。T細胞は免疫細胞の司令官のような役割をしています。リウマチの方では、この司令官であるT細胞が関節を攻撃しろと間違った命令をし、それを受けて他の免疫細胞が関節で暴れまわってしまっています。タクロリムスはこのT細胞に間違った命令を出させなくすることで、リウマチを治していくお薬です。
さすがにメトレートに比べると効き目は落ちますが、メトレートが使いにくい「御高齢の方」「肺・腎臓の悪い方」でも比較的安全に使用できるお薬になります。また最近では妊娠・授乳中でも使えるように添付文章が変わりました。
大きな特徴は、他の薬と違ってタクロリムスは「血中濃度」といってお薬が体の中にどの程度あるかを血液検査で測ることが出来ます。この血中濃度をみながらお薬の量を微調整できるので、その面でも安全性の高いお薬になります。
飲み薬の1番手メトレートが使えないような方に役立つ、2番手のお薬といったイメージになります。
使い方
1日1回、夕食後に使うお薬になります。飲み方がちょっと難しいメトレートと比べて、毎日夕食後に1回服用するだけというのは分かりやすいですね。
少量1-2㎎で開始し、症状や血中濃度をみながら2-3㎎で調整していきます。効き目はかなりゆっくりで、2か月程度かけてジワジワ効果を発揮します。
注意点
糖尿病のある方は血糖が高くなることがあるので注意しましょう
他のお薬との飲み合わせにも注意しましょう。(特に、利尿剤のアルダクトン、抗生剤のクラリスなどは避けます。薬局で薬手帳をしっかり見せて確認してもらいましょう)
ケアラム
特徴
数年前に登場した新しいリウマチのお薬になります。
効果は中程度ですが、そこまで強いお薬ではないので、メトトレキサートが使いにくい御高齢の方にも使いやすいお薬になります。
これだけでリウマチを完全に抑えるのは難しい場合には、生物学的製剤やプレドニンなど他のお薬と併用して使うことでしっかりリウマチを抑えていきます。
使い方
25㎎1錠 朝食後 から始め、飲み合わせが問題なければ 50㎎2錠 朝・夕食後 に増やします。効き目はゆっくりで、1-2か月程度かけてジワジワ効果を発揮します。
注意点
  • ・胃潰瘍のある方、ワーファリン(血液をサラサラにするお薬)を飲まれている方が使用できません。
  • ・お腹の症状や、皮膚の発疹などの症状が出る方がいらっしゃいます。これらは飲み始めてすぐにでる症状になりますので、最初の1-2か月は注意が必要です。逆に最初の数か月で飲み合わせが問題なければ、長期に使用しても安全性の高いお薬になります。
アザルフィジン
特徴
昔からあるリウマチのお薬になります。
効果は中程度ですが、腎臓が悪い方や、妊娠中の方、御高齢の方でも使える、比較的安全性の高いお薬になります。
これだけでリウマチを完全に抑えるのは難しい場合には、メトトレキサートや生物学的製剤、プレドニンなど他のお薬と併用して使うことでしっかりリウマチを抑えていきます。
使い方
500㎎1錠 朝食後 から始め、飲み合わせが問題なければ 500㎎2錠 朝・夕食後 に増やします。効き目はゆっくりで、1-2か月程度かけてジワジワ効果を発揮します。
注意点
お腹の症状や、皮膚の発疹などの症状が出る方がいらっしゃいます。これらは飲み始めてすぐにでる症状になりますので、最初の1-2か月は注意が必要です。逆に最初の数か月で飲み合わせが問題なければ、長期に使用しても安全性の高いお薬になります。
リマチル
特徴
これも昔からあるリウマチのお薬になります。
効果は中程度で、同じく昔からあるアザルフィジンと同程度になります。
これだけでリウマチを完全に抑えるのは難しい場合には、メトトレキサートや生物学的製剤、プレドニンなど他のお薬と併用して使うことでしっかりリウマチを抑えていきます。
使い方
100㎎1錠 朝食後 から始め、飲み合わせが問題なければ 200㎎2錠 朝・夕食後 に増やします。効き目はかなりゆっくりで、2か月程度かけてジワジワ効果を発揮します。
注意点
昔は100㎎を1日3錠(朝・昼・夕食後)で使われていましたが、1日2錠(朝・夕食後)と効果が変わらない事から、現在では1日2錠(朝・夕食後)で使われます。
飲み始めはお腹の症状や、皮膚の発疹などに注意が必要です。また稀に数十年してから蛋白尿など腎臓の症状が出てくることがあり注意が必要です。
プレドニン(=プレドニゾロン)
特徴
飲んだその日の効いてくる、非常に即効性のあるお薬になります。これは他の飲み薬にはない大きなプレドニンの特徴になります。
もともと体の中で作られている、副腎皮質ホルモンというものを真似て作ったいわゆるステロイドのお薬になります。この副腎皮質ホルモンは、体の中に起きた炎症を抑える働きをしますので、リウマチの炎症を抑えてくれます。
ステロイドというとあまりイメージが良くないかもしれませんが、リウマチで使われる量は非常に少なく5㎎前後となっております。顔が丸くなったり、太ったりといったステロイドのイメージはもっと多くの量のプレドニンを使用した時におきるものですので、リウマチで使われるような少ない量ではまず問題ありません。
とはいえ、何十年も使っていると骨密度が下がったりといった面がありますので、プレドニンだけでリウマチを治療するのではなく、他のリウマチのお薬と一緒に使います。リウマチの治療は最初にしっかり炎症を落ち着かせることが大切ですので、まずプレドニンで一気にリウマチの炎症を落ち着かせ、メトレートなどの他のリウマチ薬が効果を発揮してきたらプレドニンは減らしていき中止を目指します。
使い方
リウマチでは5㎎前後を使う事が多いです。症状が強い方や体重の多い方は10㎎程度使うこともあります。
基本は朝1回ですが、翌朝にお薬が切れてしまうような方は朝・夕2回に分けて使うこともあります。
注意点
  • 糖尿がある方は血糖が高くなることがあるので、食事に注意が必要です
  • 飲み忘れないようにしましょう(飲み忘れたら気が付いた時に飲んでください)
  • 眼圧の高いは使用を避けましょう

生物学的製剤

特徴
リウマチは、本来ウイルスや細菌と戦う免疫細胞が暴れだして自分の関節を攻撃してしまう病気になります。この免疫細胞を暴れさせる原因物質の一つにTNFというものがあることが発見されました。そこで、このリウマチを引き起こす原因物質であるTNFを吸着して回収してしまおうという発想で作られたのがTNFに作用するタイプの生物学的製剤になります。その後、IL6というものもリウマチの原因物質と分かり、これを吸着するタイプの生物学的製剤も登場しました。また免疫細胞達に暴れるように指令を出している、T細胞というボスに狙いを定めてリウマチを落ち着かせるタイプの生物学的製剤も登場しております。
どれもリウマチの原因をしっかり調べてから狙いを定めて作られた薬になりますので、非常にリウマチに良く効きます。飲み薬で一番効果のあるメトトレキサートでも抑えきれないリウマチも生物学的製剤で良くすることが出来ます。また、メトトレキサートと違って治療効果も早く、特にTNFに作用するタイプの生物学的製剤では1-2か月、早い方だと注射を開始した2-3日後には症状が良くなることもあります。
また生物学的製剤の種類によっては、リウマチが良くなったあとに注射の回数を減らしてお薬を減らせるのも特徴です。この後にそれぞれの生物学的製剤の特徴を説明させて頂き、そこには一般的な使い方が書いてありますが、リウマチの症状や治り具合に合わせて記載よりも少ない注射の回数で治療できることも多いです。
さらに、今まで妊娠・授乳中につかるリウマチのお薬がプレドニン程度しかなく困っていたのですが、エタネルセプト・シムジアの2種類の生物学的製剤は妊娠・授乳中も使えます。リウマチの方も安心して妊娠・出産することが出来るようになりました。
弱点
そんなまさにリウマチの特効薬のような生物学的製剤ですが、「①値段が高い」「②効き目が無くなることがある」という2つの弱点があります。
薬品を調合してつくる飲み薬と違って、生物学的製剤大きなたんぱく質でできており、作り方もバイオテクノロジーを使った精密なものになります。その分、お薬代が高くなってしまいます。
また、生物学的製剤が大きなたんぱく質でできているので飲み薬と違って体の中に入ると目立ちます。すると体が生物学的製剤を異物と認識して中和抗体という吸着物質を作ってしまうことがあります。いったんこの中和抗体ができてしまうと、そのあとは同じ生物学的製剤をつかってもすぐに吸着されて排除されてしまうので効き目が無くなってしまいます。
エタネルセプト(=エンブレル)
特徴
自己注射の生物学的製剤で、唯一のジェネリック薬品が登場したお薬になります。(正確にはバイオシミラーといいます)。そのため、今まで生物学的製剤の最大のネックであったお薬代が他の生物学的製剤の約半額になりました!
また中和抗体ができにくい構造をしているので、生物学的製剤の効き目が無くなることが少ないのも特徴です。「①値段が高い」「②効き目が無くなることがある」という生物学的製剤の2つの弱点を克服した現時点では唯一のお薬になります。
その他にも、「妊娠・授乳中も使用できる」「注射の間隔をあけてお薬を減らしていきやすい」など他の生物学的製剤に比較してメリットが多いお薬になります。
またTNFに作用するタイプの生物学的製剤なので効き目も早いです。
標準的な使い方
1-2週間に1回注射を行います、リウマチが良くなれば3週に1回、4週に1回と注射の回数を減らしていくことも可能です。
オレンシア
特徴
T細胞という免疫細胞の司令官を大人しくさせることで、リウマチを治していくお薬になります。生物学的製剤の中では効果はゆっくりで、2-3か月かけてジワジワ効果を発揮します。効果はゆっくりですが、その分他の生物学的製剤に比べて感染症などの頻度が低く安全性の高いお薬になります。
特に、「御高齢で腎臓が悪かったり、糖尿病を合併していていたりして、なかなか飲み薬でリウマチを治せない時に役立つ安全性を重視した生物学的製剤」になります。
また中和抗体ができにくい生物学的製剤ですので、注射の間隔をあけてお薬を減らしていったり、飲み薬を無くしてオレンシアの注射だけにすることも期待できる薬剤になります。
またメトトレキサートとの相性が良いのはもちろん、同じT細胞に作用する、飲み薬のタクロリムスとも相性がよく、一緒に使うとより効果を発揮します。
標準的な使い方
皮下注射と点滴のお薬があります。
皮下注射は1-2週間に1回注射を行います、リウマチが良くなれば3週に1回、4週に1回と注射の回数を減らしていくことも可能です。
シムジア
特徴
リウマチの原因物質のTNFに作用するタイプの生物学的製剤の一つになります。
その特徴は大きく3つ「①妊娠・授乳中も使用できる」、「②最初の3回は2倍量使用できる」「2週間おき1本ずつ注射でも、4週おきに2本ずつ注射でも使える」という点です。妊娠・授乳中に使用できるリウマチのお薬が少ない中で、このシムジアとエタネルセプトは妊娠・授乳中も使用できて、しっかりリウマチを抑えてくれる貴重なお薬になります。
またローディングといって、通常シムジアは2週おきに1本注射になりますが、使い始めの3回は2週おきに2本ずつ注射することもできます。最初に2倍量のお薬を使えるので、強いリウマチの方も一気に良くすることが期待できます。
またその後の治療の仕方も、2週間おき1本ずつ注射でも、4週おきに2本ずつ注射でも使えるので患者さんの希望に合わせて選べるメリットがあります。
標準的な使い方
最初の3回は2週おきに1本-2本
その後は2週おきに1本or4週おきに2本
ヒュミラ
特徴
リウマチの原因物質のTNFに作用するタイプの生物学的製剤の一つになります。
リウマチ以外にも、乾癬、炎症性腸疾患、ブドウ膜炎など皮膚・お腹・目の病気にも使われ、幅広い適応をもった生物学的製剤になります。
中和抗体ができやすいタイプの生物学的製剤になりますので、リウマチで使用する場合にはメトトレキサートを十分量使うことが効果を長持ちさせるポイントになります。
以前は注射器タイプしかありませんでしたが、2018年にペン型も登場し使いやすくなりました。
標準的な使い方)2週おきに1本注射
メトトレキサートを8-10㎎/週以上はきちんと併用することがヒュミラの効果を長持ちさせるコツです。
シンポニー
特徴
リウマチの原因物質のTNFに作用するタイプの生物学的製剤の一つになります。
特徴はその効き目の長さで、4週に1本の注射になります。
中和抗体もできにくいですので、さらに注射の間隔をあけたり、飲み薬を減らしていくことも期待できます。また効果が不十分なときは、1回に2本に注射を増やして治療することもできます。
標準的な使い方
4週に1本 (効果不十分なときは2本に増量可能)
アクテムラ
特徴
リウマチの原因物質のIL6に作用するタイプの生物学的製剤の一つになります。
TNFやT細胞に作用するタイプの生物学的製剤とは違った働きをするので、他の生物学的製剤で効果が無かった方にも、効き目が期待できるお薬になります。
日本で開発された唯一の生物学的製剤で、お薬代も他の生物学的製剤に比べると低めになります。
中和抗体ができにくいタイプの生物学的製剤ですので、さらに注射の間隔をあけたり、飲み薬を減らしていくことも期待できます。またメトトレキサートを使わなくても効果を十分に発揮できる特徴があります。
また通常は2週おきに1本の注射ですが、効果が不十分なときが1週間隔で1本ずつ使えるようにもなりました。
注意するのは、CRPを極端に下げるので、リウマチが残っていたり感染症が起きていてもCRPが下がったままで判断が難しい点です。また他の生物学的製剤にくらべて、憩室炎といったお腹の感染症が多い傾向にあります。
標準的な使い方
皮下注射と点滴があります
皮下注射は2週おきに1本。 効果が不十分なときが1週おきに1本まで増やせます。
レミケード
特徴
2003年、一番最初に登場した歴史ある生物学的製剤になります。リウマチの原因物質のTNFに作用します。
点滴製剤であることと、最初は間隔を詰めて点滴するので効き目が早いこと、効果が不十分なときは点滴の間隔詰めたり、量を増やしたり調節ができる特徴があります。
中和抗体ができやすいタイプの生物学的製剤なので、メトトレキサートを一緒に使うことが必要です。またメトトレキサートの量もしっかり使うことがレミケードの効果を長持ちさせるポイントになります。
標準的な使い方
体重当たり3㎎の点滴 0,2,6週 以降が8週間隔
効果不十分なときは 体重当たり6mg/4週or10㎎/8週まで調整可能

JAK阻害剤

ゼルヤンツ
特徴
 
使い方
 
注意点
 
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