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リウマチと似ている病気とは?

原因不明の関節痛、実はこれらかもしれません

リウマチと似ている病気とは?

リウマチを心配し受診したら「レントゲンは正常、血液検査でもリウマチは出ていませんね」と言われてその場はちょっと安心。しかし、その後も手指・足指の腫れや痛みがでて、原因不明の関節痛にお困りの方はいらっしゃいませんか?

そんな時に考えられるのが、「血液検査では分からない関節リウマチ」と「リウマチ関連の病気」になります。

そこで皆さんにぜひお願いしたいのが、お手元にある血液検査の「CRP」,「CCP抗体」,「リウマチ因子(RF)」の3項目の結果をご自分で確認して頂きたいという事です!いずれか一つでも基準値を超える場合には、「関節リウマチ」「リウマチ関連の病気」の可能性が非常に高くなります。

特に、
「血液検査でリウマチ因子(RF)正常でも、CRPが少しでも上昇している場合」には、何かしらリウマチ関連の病気が隠れている可能性が非常に高くなります。
「CRP正常でも、CCP抗体が少しでも上昇している場合」には早期のリウマチが隠れている可能性が非常に高くなります。

いずれの場合も、原因不明と思われていた関節の痛みが治療できる可能性があります!
ぜひリウマチ専門医にご相談ください。
それでは、「リウマチ関連の病気」にはどんなものがあるかを、よくご相談頂く内容と併せてご紹介させて頂きたいと思います。どの場所の関節が痛いのか、皮膚や爪など関節以外の症状があるか、ご年齢なども原因不明の関節痛を特定するポイントになりますので、ぜひ注目してみてください。

1 乾癬性関節炎(かんせんせいかんせつえん)

Question No.1

数年前から、指先が腫れて痛みがあります。最近はアキレス腱や足趾の指も腫れたりして痛くなります。何件か病院にも行ったのですが、血液検査でリウマチの反応がでませんでした。これはリウマチでしょうか?

Answer No.1

爪の変化(小さな凹み、爪が浮き上がっている)、髪の毛の中や耳回りにカサカサした湿疹がありますね。関節エコー検査でも手指・アキレス腱・足趾の関節の中に炎症がでています。
これはリウマチの親戚のような病気で、乾癬性関節炎(かんせんせいかんせつえん)というものになります。

解説
乾癬(かんせん)性関節炎といってもあまり効き馴染みがないかもしれませんが、リウマチという診断がつかず原因不明の関節痛に困っている方の中に隠れている大事な病気になります。
もともと乾癬(かんせん)自体は皮膚の病気になります。乾癬もリウマチと同じ免疫バランス異常の病気の一つで、自分の体の中にある免疫細胞が、皮膚で過剰に暴れまわり炎症を起こすことが原因になります。さらに、その皮膚で暴れている免疫細胞が、関節にも悪さをすることがあり、その場合を乾癬性関節炎と呼びます。
症状例
【湿疹】
頭皮・耳の周り・背中・肘・膝などに、ぽろぽろ剥がれ落ちる赤い湿疹ができ、良くなったり悪くなったりします。
【関節の腫れ痛み】
手指・足指・膝・アキレス腱に痛みや腫れが出てきます。
【爪】
小さな凹み、爪が浮き上がっている
検査
【診察】
乾癬の皮膚・爪症状がないか?をしっかり診察することが大切です
【関節エコー検査】
関節やアキレス腱の中に炎症が起きていないか?さらには爪の付け根に炎症が起きていないか?も調べることが出来ます。乾癬性関節炎の診断には欠くことのできない重要な検査になります。
【血液検査】
リウマチのような診断に役立つ血液検査(CCP抗体、リウマチ因子)がありません。CRPが少しでも高い場合には乾癬性関節炎の可能性がグッと上がります。ただCRPも正常のことが多いので、CRPが正常でも否定はできません。
治療

今までは塗り薬しかなかった乾癬も、ここ数年で「新しい飲み薬」や、「生物学的製剤」という注射など、大きく治療が進歩しています!

コセンティクス

乾癬の皮膚や関節ではIL17という物質が沢山できてしまい、これが原因となって自分の免疫細胞が暴走し皮膚や爪、関節に悪さをしていることが分かってきました。そのIL17を退治するように作られたお薬がコセンティクスになります。

特徴はその治療効果の高さと、効き目の早さになります。
早い方だと、注射をした1-2週間後から関節の痛みや腫れが良くなってきます。さらに関節の症状だけでなく、皮膚の症状もとっても良くなることが多いです。
関節の痛み・皮膚の症状もスパッと治してくれるまさに乾癬専用の特効薬といったものになります。

コセンティクスは、
1 飲み薬では良くならない関節の腫れや痛みがある方
2 塗り薬では良くならない皮膚症状の方
3 塗り薬が使いにくい頭皮や爪の症状を改善したい方
に特にお勧めのお薬になります。注射なので、飲み薬と違って他の薬との飲み合わせなども問題ありません。

ヒュミラ

リウマチでも長く使われている生物学的製剤ですが、乾癬性関節炎にも効果を発揮します。IL17同様、TNFという物質も乾癬を引き起こしている原因になります。このTNFを退治するのがヒュミラになります。このヒュミラも効き目が早いので、良く効く方では注射後1週間で関節の腫れや皮膚の症状が大きく改善することが期待できます。以前は注射器タイプしかありませんでしたが、最近はペン型も登場し使いやすくなりました。

オテズラ

乾癬の飲み薬として昨年より使えるようになった新しいお薬が「オテズラ」です。乾癬ではPDE4(ホスホジエステラーゼ4)という物質も過剰に作られており、これが病気の原因の一つとなっていることが分かってきました。オテズラは、この増えて悪さをしているPDE4という物質を抑えて、乾癬を治していくお薬になります。

オテズラは、
1 今までの塗り薬では良くならない皮膚症状の方
2 塗り薬が使いにくい頭皮や爪の症状を改善したい方
に特にお勧めの飲み薬になります。オテズラは飲み始めに頭痛、胃もたれや、便が柔らかくなることがあるので、最初は少ない量で初めて、6日間で徐々にお薬を増やしていきます。効果は数か月かけて徐々に出てきて、3か月で多くの方(7割程度の方)の皮膚や頭皮、爪症状が改善します。飲み薬で皮膚・爪・頭皮の乾癬を改善したい方にお勧めのお薬です。

メトトレキサート

リウマチの治療でも中心となるお薬ですが、乾癬性関節炎の関節症状にもよく効きます。乾癬性関節炎でも治療の中心となるお薬になります。使い方はリウマチと同じで週2回だけ服用します。週3錠から始めて、飲み合わせなどを確認しながら週5~6錠を目標に徐々に1錠づつ増やしていきます。

アザルフィジン

これも昔からあるリウマチのお薬ですが、乾癬性関節炎にも効果を発揮します。効果は中程度ですが、メトトレキサートが使用しにくいご高齢の方や、症状の軽い方に使われます。まずは1日1錠(朝1錠)から始めます。飲み合わせなどを確認し、1日2錠(朝1錠・夕1錠)に増やします。

2 リウマチ性多発筋痛症

Question No.2

昨年末から急に肩や背中が痛くなって、夜寝がえりをうつのも大変です。レントゲンでは骨に問題なく、五十肩の治療を受けているのですがなかなか良くなりません。リウマチの数値は出ていないようですが、炎症の数値は高いと言われました。リウマチの可能性などありますか?

Answer No.2

「リウマチ性多発筋痛症」というリウマチの親戚のような病気が原因です。プレドニンというお薬が良く効きますので安心してくださいね。

解説
リウマチ性多発筋痛症は、リウマチの親戚のような病気ですが、リウマチは指や手首などの小さな関節が腫れて痛くなるのに比べて、リウマチ性多発筋痛症は手指だけでなく首・肩・腰・太ももなどの大きな関節・筋肉が痛くなる点が特徴です。
またリウマチのようにリウマチ因子・CCP抗体といった診断に使える血液検査項目が無いので、なかなか診断がつかずに原因不明の肩・首・腰の痛みで困られている方が多くいらっしゃいます。
症状・検査

1 ある日突然、首・肩・腰・太ももなどが急に痛くなってしまう
2 痛みで寝返りが打てない
3 血液検査でCRP(炎症の数値)が高い、リウマチの数値は正常(CCP抗体陰性、リウマチ因子陰性)
4 関節エコー検査で肩に強い炎症が見られる

肩や首の痛みがある時、皆さんはどんな原因を思い浮かべるでしょうか?おそら五十肩などの整形外科領域の病気が原因で起きることが多いです。ただその中にリウマチ性多発筋痛症が隠れていることがあるので注意が必要です。

五十肩とリウマチ性多発筋痛症を見分けるポイント
1 「血液検査で炎症の数値CRPが高い」
2 「肩だけでなく、手指・足指が腫れることもある」
3 「微熱が出るようになった」
4 「痛みがずっと持続している」
このような症状がある場合には、五十肩ではなくリウマチ性多発筋痛症の可能性がありますので、ぜひ専門医を受診して関節エコー検査で確認をしましょう。

ご相談いただいた患者さんも、診察室で関節エコーをさせていただいたところ肩関節や周りの腱に強い炎症が見られました。これは五十肩などでは見られません。また、院内の血液検査でCRP6.9(正常は0.4未満)と高い事が判明し、リウマチ性多発筋痛症の診断で治療が始まりました。

治療
プレドニン(=プレドニゾロン)

リウマチ性多発筋痛症の治療は、プレドニン(=プレドニゾロン)というステロイドホルモンが中心になります。リウマチ性多発筋痛症の炎症の強さ、体重・年齢、糖尿病の有無などによっても変わりますが、プレドニン15~20㎎で治療を開始します。すると、治療を始めて1-2日で夜寝れないほど痛かった肩の痛みがすっきりと良くなる方が多くいらっしゃいます!このプレドニンはとっても良く効くというのが、リウマチ性多発筋痛症の特徴の一つになります。初期治療のプレドニン15~20㎎をおよそ4週ほど続け、リウマチ性多発筋痛症の症状が改善し、血液検査の炎症の数値CRPが正常になりましたら、今度はプレドニンを少しずつ減らしていきます。

3 掌蹠膿疱症性関節炎(しょうせきのうほうしょう)

Question No.3

数年前から時々鎖骨が痛くなることがあったのですが、数か月前からはずっと痛みがあり腫れています。最近は手首や膝も痛くなってきました。これってリウマチでしょうか?

Answer No.3

確かに関節エコー検査で診てみると、胸鎖関節という首の下の関節、手首、膝の関節の中に炎症が起きていますね。手のひら、足の裏に、小さなブツブツした発疹もありますね。血液検査の結果も確認してになりますが、「掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)」というリウマチの親戚のような病気が原因かと思われます。

解説
掌蹠膿疱症と聞いてもあまり馴染みが無いかとおもいます。漢字も難しいのですが、「しょうせきのうほうしょう」と読みます。掌蹠膿疱症は名前のとおり、手のひら(掌)と足の裏(蹠)に小さなブツブツ(膿疱症)ができる皮膚の病気になります。これも原因はリウマチと同じく、自分の体を細菌などから守る免疫細胞が間違って皮膚を攻撃して暴れてしまう事で起きてくる、リウマチの親戚のような病気になります。そして、この皮膚で暴れている免疫細胞が、関節にも悪さをすることがあり、これを掌蹠膿疱症性関節炎と呼びます。
症状

【湿疹】
手のひら・足の裏に小さなブツブツが繰り返します
【関節の腫れ・痛み】
鎖骨に腫れ痛みがでるのが特徴です。その他、膝・足指・手指にも腫れや痛みが出ることがあります。

首の下にある鎖骨や胸の関節が腫れて痛くなったとき、原因として可能性が高いものはこの2つになります。他の病気ではあまり見られない特徴的な症状なので、「鎖骨が腫れたら、掌蹠膿疱症?リウマチ?」ぜひ覚えてくださいね。

検査
【診察】
手のひら・足の裏のボツボツした小さな発疹がないか、しっかり確認します
【関節エコー検査】
胸鎖関節(胸の関節)や手足膝など痛みのある関節の中に、炎症が起きているかを確認できます。掌蹠膿疱症性関節炎を診断するのに、欠かせない大事な検査になります。
【血液検査】
リウマチのような診断に使える検査はありません。関節の炎症が大きいとCRPが上がる事があり診断に役立ちます。ただCRPが正常のままの事も多いので、正常でも掌蹠膿疱症性関節炎の否定はできません。
治療

メトトレキサート
アザルフィジン
どちらもリウマチの治療に使われる飲み薬ですが、掌蹠膿疱症性関節炎にも効果を発揮します。

生物学的製剤

リウマチの特効薬ともいえる生物学的製剤ですが、掌蹠膿疱症性関節炎にも効果を発揮します。飲み薬だけでは抑えきれない時に、生物学的製剤の追加を検討します。

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