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今のリウマチ治療で大丈夫?

お薬の見直しが必要な5つのポイント

今のリウマチ治療で大丈夫?
お薬の見直しが必要な5つのポイント

リウマチの治療をされているから多くご相談頂く内容が、

「リウマチの治療を始めて、CRPは下がったけど手足にまだ痛みや腫れがあります。リウマチの痛みなのか、別に原因があるのか不安です」
「先月からリウマチの治療を始めたけど、良くならず痛みや腫れが強くなっています」
「長年リウマチのお薬を使っているけど、最近薬の効き目が悪くなったのか痛みがでるようになりました」

などになります。そして、皆さんに共通するのが「今のお薬で本当に良いのだろうか?」というお悩みになります。

そこで実際にリウマチが治っていないことが分かり、お薬を見直させて頂いた方々のご相談内容を踏まえ、「お薬の見直しが必要な5つのポイント」をご紹介させて頂きます。

お薬の見直しが必要な5つのポイント

  • 関節に痛みだけでなく腫れがある
  • CRPがまだ高い
  • リマチル、アザルフィジンで治療しているが痛みがある
  • 最近、生物学的製剤が効かなくなってきた
  • 妊娠・出産を考えている

⇒1つでも当てはまる項目のある方は、お薬の見直しで痛みや腫れが良くなり、手指の変形を止めることが期待できます♪

それでは5つのポイントを詳しく見ていきましょう。
まずは(1)関節に痛みだけでなく腫れがある(2)CRPがまだ高いになります。
このどちらか一つでもある場合には、関節の中でリウマチの炎症が残っている証拠になりますので、まずリウマチが治りきってない可能性非常に高いです。そのため、リウマチのお薬を見直ししっかりと治療することでリウマチの痛みは腫れが良くなることが期待できます。
ただ、「見た目では分からないけど腫れている」、「CRPが正常でも手・足の小さな関節にリウマチが残っている」ことも実は多くあるので注意が必要です。
そこで役立つのが「関節エコー検査」になります。見た目では腫れていないが痛みのある関節をエコーで見てみると、強いリウマチが関節の奥に残っていることがあります。
また、血液検査でCRP正常でも、関節エコーで痛みのある手指・足指・アキレス腱などをチェックすると、関節の中や腱に強いリウマチが残って、さらには骨の変形・破壊が進行していることも見つけることができます。
この場合にも、リウマチのお薬を見直す事で痛みや腫れを改善し、将来的な関節の変形・破壊を防ぐことが出来ます。

次に、(3)リマチル、アザルフィジンで治療しているが痛みがあるです。
リマチル、アザルフィジンは、昔からあるリウマチのお薬で、一昔前まではリウマチと診断したら最初に使うお薬として活躍しておりました。確かにこれらのお薬はリウマチをある程度良くしてくれますが、これだけでリウマチをしっかり抑えるには至らない事が多くあります。その結果、最初よりは良くなったけどもいつくかの関節に痛みや腫れが残ったままであったり、その関節が徐々に破壊され変形が進行しまうことがあります。
そこで現在では、リウマチと診断したら、最初からリウマチをしっかり治せるメトトレキサートや生物学的製剤といったお薬で治療を始めるようになっております。
現在ではリマチル・アザルフィジンを治療に使うことはずいぶん減っておりますが、リマチル・アザルフィジンで現在も治療されていて痛みのある方はリウマチのお薬を調整することで良くなる可能性がありますので、ぜひ専門医にご相談ください。

どんどん行きましょう。次のポイントは(4)最近、生物学的製剤が効かなくなってきたです。
生物学的製剤はリウマチにとっても良く効く特効薬ですが、一番の弱点はお薬を吸着して効き目を無くしてしまう中和抗体(ちゅうわこうたい)というものが出来てしまうことです。一度この中和抗体ができてしまうと、あとはいくら同じ生物学的製剤を使っても効果がなく、別の生物学的製剤に変更する必要が出てきます。
いかに中和抗体ができることを防げるかどうかが、現在使われている生物学的製剤がいつまでも効果を維持できるかにかかわってきます。 そこで大切なのが、「中和抗体のできにくい生物学的製剤を選ぶこと」「中和抗体ができないようにメトトレキサートをしっかり使うこと」になります。
生物学的製剤は数種類ありますが、ヒュミラや点滴のレミケードのような中和抗体ができやすい生物学的製剤で効き目が無くなった場合には、中和抗体ができにくい生物学的製剤(エタネルセプトやオレンシアなど)に変更するとお薬が効くようになります。さらには再び中和抗体ができないように、メトトレキサートの飲み薬もしっかり使っていくことが大切です。

最後の5つ目のポイントが(5)妊娠・出産を考えているです。
実は妊娠するとリウマチが自然によくなる方が多いのをご存知でしょうか?そして出産後の授乳が始まる頃になると再びリウマチが出てきて関節の痛みや腫れが出やすくなります。
そういった妊娠・出産・授乳の時期によって変化するリウマチの状況をしっかり確認して、治療をしていくことが大切です。
まず妊娠・出産・授乳中はリウマチ治療の中心となるメトトレキサートは使えません。妊娠を考え始める3か月前から、メトトレキサートは中止となります。
そしてメトトレキサートに変わって妊娠・出産・授乳中に使えるリウマチのお薬で中心になってくるのが、「プレドニン」と「エタネルセプト・シムジア」になります。
プレドニンは20㎎以下では赤ちゃんへの影響がないと言われており、通常のリウマチで使う5~10㎎程度では問題ありません。先ほども触れさせて頂きましたが、妊娠中はリウマチが良くなる方が多いですので、症状の軽いリウマチの方ではプレドニンだけで治療をすることがあります。
ただ、「もともとリウマチの勢いが強い方」や「妊娠中もリウマチが良くならない方」、さらには「出産後のリウマチ悪化」などでプレドニンだけではリウマチ抑えきれないこともあります。そこで登場するのが、妊娠・出産・授乳中も使える生物学的製剤の「エタネルセプト」「シムジア」のコンビになります。この2つの生物学的製剤は、胎盤を通過しませんのでお腹の中の赤ちゃんに影響がありません。また母乳からもほとんど検出されず、仮に少し母乳に入っていても赤ちゃんの胃の中で分解されてしまい影響がありません。
特に出産後のお母さんは赤ちゃんのお世話で寝不足だったり、抱っこやおんぶで手指・膝足に負担がかかって痛みや腫れが出やすくなります。我慢せずに一時的にでも「エタネルセプト」「シムジア」を使ってしっかり治療をしていただければと思います。
赤ちゃんのお世話で忙しいお母さんの痛みや腫れが無くなりお役に立てるのは、リウマチ専門医としても嬉しい限りです。

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